ストリートで僕のもう一人のお隣さん、コネチカットからきているダン。
家が遠いので金曜の晩からストリートに来て、翌日のストリートの為に車の中で待機しています。そして土曜も家に帰らず車で一夜を明かし、日曜日の夕方に帰るといった様子でいつもやっていました。
彼は自分で撮った風景や人物、動物などの写真を売っています。結構人気があり、毎回かなりの売り上げなのです。
そんな彼ですが、一度とんでもなく危ない目に遭ってしまいました。
僕はストリートのある週末の朝は、場所の確保のために朝の6時頃に毎回同じ場所に作品を並べる台を置きに行っています。
それからまた一旦アパートに帰ってから少し寝て、再び朝の10時前に作品を携えてストリートに出向いて商売開始となるわけです。
僕のアパートはそこから歩いて1、2分のところにあるのでとても便利なのです。
ある寒い朝のこと、いつものように場所取りにストリートへ行くと、なにやらその一帯が真っ黒くなっているのです。視線を変えると真っ黒焦げの車が一台ありました。
ぼとんどボディーとシャシーとホイールしか残っておらず、あとは燃え尽きていました。
一瞬目を疑ったがいましたが、その車はまさしくダンの車でした。
恐る恐る中を覗いてみると真っ黒焦げになった何枚もの写真とダンのスニーカーが転がってありました。
僕はこの事態をどうしても理解できなく、啞然としているとストリートの仲間が次々とやって来ました。
誰もこの事件のことは知らなかったようで、みんなびっくりして大きなショックをうけていました。
早速ビルがダンの携帯電話に連絡をしましたが、応答がなくとりあえずでメッセージだけをを残しました。
ダンのことが心配ですが、それにしてもひどい火災です。街路樹の桜の木が一本丸焦げになっていました。
ぼどなくして、ダンから連絡が入りました。
とにかく無事らしい。どうやら原因は、寒かったので携帯用の電気ストーブを車内で使っていたらしく、寝ている間にそれを蹴飛ばして火事になったとのこと。
気がつくと車はすでに火の海で急いで外に飛び出し、奇跡的に一命を取りとめたという訳です。
幸い大した怪我はないようで、本人は財布も焼けてしまって当然お金が無い訳で、ぼぼ裸に近い姿でヒッチハイクをしながらコネチカットまで帰ったということでした。
何はともあれ彼の無事を聞いて一安心したものの、この一件で気分がダレてしまい、真っ黒焦げの桜の木のあるそばでは、作品を並べる気がなくなりました。
それから3週間後のこと、真新しい車でダンがストリートに復帰していました。
保険で車が新車になっていました。
つづく